秋に旬を迎えるものが多い「芋類(いもるい)」の栄養価を比較します。
ピックアップするのは『ジャガイモ』と『サツマイモ』、『長芋』、『里芋』の4種類です。
カロリーや炭水化物、食物繊維、糖質を一挙に比べていきます。
【表で比較】芋類の栄養価
芋類の栄養価を比較していきます。
ここからの栄養価は日本食品標準成分表(八訂)増補2023年のうち
- ジャガイモ:いも及びでん粉類/<いも類>/じゃがいも/塊茎/皮なし/蒸し
- サツマイモ:いも及びでん粉類/<いも類>/(さつまいも類)/さつまいも/塊根/皮なし/蒸し
- 長芋:いも及びでん粉類/<いも類>/(やまのいも類)/ながいも/ながいも/塊根/水煮
- 里芋:いも及びでん粉類/<いも類>/(さといも類)/セレベス/球茎/水煮
の数値を参考にしています。
いずれも蒸し・水煮など『加熱済み』の数値です。
芋類のカロリー
100gあたりに含まれる芋類のカロリーです。
ジャガイモ | 76kcal |
サツマイモ | 131kcal |
長芋 | 58kcal |
里芋 | 77kcal |
けっこう差が開きましたね。
カロリーが少ない順にランキングを表示してみると↓のようになります。
- 長芋:58kcal
- ジャガイモ:76kcal
- 里芋:77kcal
- サツマイモ:131kcal
とろろでおなじみの長芋が断トツで低カロリーとなり、ジャガイモ・里芋はほぼ同じカロリー。
他の芋類と比べ、およそ2倍もカロリーが高いサツマイモは131kcalとなりました。

甘みが強いサツマイモのカロリーが高い、というのは何となく理解できますね。
芋類の炭水化物
100gあたりに含まれる芋類の炭水化物です。
ジャガイモ | 18.1g |
サツマイモ | 31.9g |
長芋 | 12.6g |
里芋 | 19.1g |
炭水化物量もけっこうさが開きましたね。
炭水化物量を少ない芋類から順にランキングにしてみました。
- 長芋:12.6g
- ジャガイモ:18.1g
- 里芋:19.1g
- サツマイモ:31.9g
カロリーの順位と並びは同じとなり、含まれる炭水化物量とカロリーがほとんど比例していることが分かります。
カロリーが低いほど炭水化物が少なく、カロリーが高いほど炭水化物が多いという結果ですね。
また、炭水化物量が最も少ない長芋と、最も多いサツマイモの炭水化物量を比較すると、サツマイモが長芋の約2.5倍も多く炭水化物を含むことが分かります。
同じ芋類ですが、こんなにも数値に差が出るのですね・・・。
芋類の食物繊維
100gあたりに含まれる芋類の食物繊維です。
ジャガイモ | 3.5g |
サツマイモ | 2.3g |
長芋 | 1.4g |
里芋 | 2.2g |
食物繊維は差が開きませんでしたが、これまでとは違う結果となりました。
食物繊維が多い順にランキングにしてみると↓のようになります。
- ジャガイモ:3.5g
- サツマイモ:2.3g
- 里芋:2.2g
- 長芋:1.4g
ジャガイモが最も多く、長芋が最も少ないという結果に。
長芋が最も少ない、というのは炭水化物量が少ないので仕方がないでしょう。
しかし、炭水化物量が断トツで多いはずのサツマイモは2位となり、里芋とほぼ同量。
ジャガイモがサツマイモより1.3gも多く食物繊維が含まれているという結果になりました。
芋類の糖質
100gあたりに含まれる芋類の糖質です。
ジャガイモ | 14.6g |
サツマイモ | 29.6g |
長芋 | 11.2g |
里芋 | 16.9g |
糖質は炭水化物のうち食物繊維を除いた部分のことです。
つまり『炭水化物ー食物繊維=糖質』となります。
そんな芋類の糖質を少ない順にランキングにしてみると↓のようになります。
- 長芋:11.2g
- ジャガイモ:14.6g
- 里芋:16.9g
- サツマイモ:29.6g
長芋が最も少ないのは予想できるとして、2位のジャガイモと3位の里芋の差が開いたのが少し意外でしたね。
また、サツマイモはやはり糖質が高めでした。
サツマイモの糖質は長芋の約2.6倍、ジャガイモの約2倍、里芋の約1.75倍でした。
【まとめ】栄養価からみるダイエット向きな芋類は?
栄養価からみるダイエット向きな芋類は『長芋』と『ジャガイモ』です。
長芋のオススメポイントはカロリー・糖質が低いところ。
ジャガイモのオススメポイントはカロリー・糖質が低めで、食物繊維が豊富なところ。
ジャガイモは比較的リーズナブルで、一年中手に入りやすいというのも嬉しいポイントですね。
また、ダイエットにオススメできない芋類は『サツマイモ』でした。
まるでスイーツのように甘いサツマイモは、当然と言えば当然ですが、糖質が高め。
ただし食物繊維も多く含まれているので整腸作用は期待できます。
里芋は可もなく不可もなし、でした。
芋類の特徴まとめ
ここまで栄養価をまとめた芋類を1つ1つまとめていきます。
ジャガイモ:芋と言えばこれ!芋の代表格
ジャガイモはナス科ナス属の多年生植物です。

別名は『馬鈴薯(ばれいしょ)』で、食べられる部分は地下茎となります。
デンプンを多く蓄えているため、ご飯の代わりに主食にもなることから、これまで何度も食糧危機を救ってきた立役者。
保存性が高く、風通しの良いところへ置いておけば一年近くは保つのが特長ですね。
日本には戦国時代末期に伝来したとされました。
しかし、栽培が本格化したのは明治時代以降とのことです。
ジャガイモの品種は主にホクホクした男爵芋系と、ねっとりしたメイクイーン系に分かれます。
ポテトサラダなどには男爵芋が、煮物には煮崩れしにくいメイクイーンが向いていて、だいたいスーパーでもこの2種類が並んで売られていることが多いですね。
サツマイモ:みんな大好き秋の味覚!その甘さはまるでスイーツ
サツマイモはヒルガオ科サツマイモ属の多年生植物です。

別名は『甘藷(かんしょ)』、英語だと『sweet potato(スイートポテト)』となります。
食べている部分は塊根(肥大した根っこの部分)。
日本では江戸時代の初めごろに琉球王国へ伝わり、後に薩摩(現在の鹿児島県あたり)にも伝わりました。
第二次世界大戦ごろなど、食糧危機に陥った際には貴重な栄養源として重宝されていました。
そんなサツマイモと言えば焼き芋!
ただ焼くだけなのに、どうしてあんなに美味しいのか!?
サツマイモの品種は増えており、昔ながらのホクホク系や、最近人気が高いねっとり系などさまざま。
煮物や炒め物など、献立の一品としても美味しいのが特長ですね。
長芋:生でもOK!とろろや煮物に大活躍
長芋はヤマノイモ科ヤマノイモ属のつる性多年生植物です。

『長芋』という名前は品種名でもあり、ヤマノイモ属の根(担根体)の部分を指す総称でもあります。
また『山芋』と呼ばれることもあります。
この長芋の別名・山芋と、自然薯(じねんじょ)という名前で有名な『ヤマノイモ』は別種なので注意しましょう。
広く出回っている長芋は日本が原産とされ、近年、日本産の長芋は国外への輸出量が増えている野菜でもあります。
生のまますりおろすと『とろろ』に。
さらに、細かく刻んでもネバネバで美味しく頂けるのが特長です。
もちろん加熱してもOKで、煮物やソテーなど、もともとの味に癖がないためどんな料理とも合うのがポイントです。
里芋:ヌルヌルでもホクホクな煮物向けの芋
里芋はサトイモ科サトイモ属の植物です。

先ほどまとめた「長芋(ヤマイモ)」に対し、里で生息していた芋だったため里芋と名付けられたとのこと。
食べる部分は地下茎となりジャガイモと同じ。
日本では縄文時代には伝来していたとされ、稲作が始まる前には主食として食べられていたと考えられています。
現在では煮っ転がしなど煮物として食べられることがほとんど。
毎年、寒い季節になると芋煮会として各地でお祭りが行われることも有名ですね。
【まとめ】芋類の分類と食べる部分
ジャガイモ・サツマイモ・長芋・里芋の分類と食べる部分(可食部)を表でまとめます。
芋 | 分類 | 可食部 |
---|---|---|
ジャガイモ | ナス科ナス属 | 地下茎 |
サツマイモ | ヒルガオ科サツマイモ属 | 塊根(根) |
長芋 | ヤマノイモ科ヤマノイモ属 | 担根体(根) |
里芋 | サトイモ科サトイモ属 | 地下茎 |
こうしてみると、芋類は全て分類上は全然違う植物なのですね・・・。
また、ジャガイモと里芋は茎の部分を、サツマイモと長芋は根の部分を食べる、という違いもあります。

カロリーや糖質比較とともに、これからの献立の参考にしてみてくださいね♪