ゼリーなどを固まらせる凝固剤として使用させる「ゼラチン」と「寒天」。
この同じ目的で使われるゼラチン・寒天の違いとは何なのでしょう?
また、ゼラチンと寒天、ダイエット向きなのはどちらなのか?栄養価を比較し、検証してみました!
ゼラチン・寒天の違いとは?
どちらもゼリーの材料など凝固剤として使用される「ゼラチン」と「寒天」。
しかし、ゼラチン・寒天は原材料からそもそも大きく違います。
ゼラチンの原材料
ゼラチンとは動物の皮膚や骨などに含まれるたんぱく質・コラーゲンから作られた成分です。
コラーゲンに熱を加えて抽出された成分がゼラチンです。
つまり、ゼラチンの主成分はコラーゲン由来のたんぱく質となり、全成分のうち90%弱をたんぱく質が占めています。
寒天の原材料
寒天とは天草(テングサ)などの粘液を固めた『トコロテン』を凍結・乾燥させたものです。
天草とは紅藻類(こうそうるい)という海藻の一種。
天草の他にもオゴノリという海藻もよく使用されます。
この天草・オゴノリを煮て、出た粘液を固めたものが『トコロテン』です。
三杯酢などをつけて食べられる、あの心太(ところてん)ですね。
寒天は、このトコロテンを一度凍らせ、溶かして水分だけを抜き、乾燥させるという過程を経て作られます。
※こちらは伝統的な手法で、現代は工業的な手法によりもっと簡単に作られます
「寒天」という名前の由来
寒天の名前の由来は、『寒晒(ざら)し心太』が時代とともに短くなったものとされています。
寒天は真冬の夜に戸外に捨てたトコロテンが凍結し、日中の日差しで溶けて乾燥した状態になったために生まれた、という説が一般的。
そのため寒晒ししたトコロテン、がいつしか「寒天」になったとされています。
【まとめ】ゼラチン・寒天の違い
- ゼラチン:動物性の凝固剤。コラーゲン由来のたんぱく質が主成分。
- 寒天:植物性の凝固剤。天草など海藻の粘液から作られる。
ゼラチンと寒天のもっとも大きな違いは、ゼラチン=動物性、寒天=植物性であるということでした。
ここからは、そんなゼラチン・寒天の違いを踏まえつつ栄養価を比較してみます。
ゼラチン・寒天の栄養価を比較
ゼラチン・寒天それぞれ100gあたりの栄養価を比較します。
※ここからの数値は日本食品標準成分表(八訂)増補2023年の
- ゼラチン:肉類/<畜肉類>/ぶた/[その他]/ゼラチン
- 粉寒天:藻類/てんぐさ/粉寒天
の数値を参考にしています。
栄養成分 | ゼラチン | 粉寒天 |
---|---|---|
エネルギー | 347kcal | 160kcal |
水分 | 11.3g | 16.7g |
たんぱく質 | 87.6g | 0.2g |
脂質 | 0.3g | 0.3g |
炭水化物 | 0g | 81.7g |
-食物繊維 | 0g | 79.0g |
ー糖質 | 0g | 2.7g |
ゼラチン・寒天の栄養価を比較してみると、どちらも極端な栄養バランスをしていることが分かりますね。
ゼラチンは約88%がたんぱく質。
一方で、寒天は全体の79%が食物繊維となっています。
また、エネルギー(カロリー)を比べると、ゼラチンは347kcal、寒天は160kcal。
ゼラチンが寒天の2倍以上もカロリーが高いという結果になりました。
ゼラチン・寒天はどちらがダイエット向きなのか?
ゼラチンは同量の寒天より2倍以上もカロリーが高く、主成分はたんぱく質です。
一方で、寒天はカロリーがゼラチンの半分以下で主成分は食物繊維。
そのため、一見するとゼラチンよりも寒天の方がダイエット向きに思えます。
しかし、注目すべきはゼラチン・寒天を実際に使用する量。
↑の栄養価は溶かして凝固剤として使用する前の状態の数値なので、実際に同量のゼリーにした場合の栄養価を比較してみます。
ゼラチン○gで作れるゼリーは?
ゼラチンは5gあたりで250mlのゼリーが作れます。
市販のゼリーに換算するとだいたい3個ほどですね。
ゼラチンに対する水分の量は好みで変えられます。水分を増やせばプルプルに、水分を減らせばしっかり食感になります。
寒天○gで作れるゼリーは?
寒天は5gあたりで400~500mlのゼリーが作れます。
市販のゼリーに換算すると5~7個ほどですね。
寒天に対する水分の量は好みで変えられます。水分を増やせばトロトロに、水分を減らせばしっかり食感になります。
ゼラチン・寒天で同じ量のゼリーを作ると?
5gで250mlのゼリーが作れるゼラチン、5gで500mlまでゼリーが作れる寒天。
つまり、同じ500mlのゼリーを作るためには、ゼラチンは10g、寒天は5gが必要です。
これを踏まえ、ゼラチン10gと粉寒天5gの栄養価を比較してみます。
栄養成分 | ゼラチン10g | 粉寒天5g |
---|---|---|
エネルギー | 34.7kcal | 8kcal |
水分 | 1.13g | 0.835g |
たんぱく質 | 8.76g | 0.01g |
脂質 | 0.03g | 0.0005g |
炭水化物 | 0g | 4.085g |
-食物繊維 | 0g | 3.95g |
ー糖質 | 0g | 0.135g |
同じ量のゼリーに使用する量で比較すると、カロリーはゼラチンが約4.3倍高いことが分かります。
したがって、やはり寒天の方がダイエット向きであると言えるでしょう。
ただ、ゼリー1個分に換算するとどちらも数kcalでハイカロリーとは言えません。
あくまでゼラチンと寒天を比べると寒天の方がダイエット向き、であるというだけで、ゼラチン=太りやすい訳ではないのでご注意ください。
【まとめ】ゼラチン・寒天の違い&ダイエット向きなのは?
- ゼラチンと寒天は原材料が違う
- ゼラチン:コラーゲン由来たんぱく質(動物性)
- 寒天:天草などの海藻
- ゼラチンは9割近くがたんぱく質
- 寒天は8割弱が食物繊維
- カロリーが低い寒天の方がダイエット向き
- しかし、ゼリーなどに使用する量はいずれも少量なので実際には大差はない
ここまで、ゼラチンと寒天の違いについてまとめました。
何となく同じようなものと思っていましたが、実際は全然違うものでビックリしています。
ダイエットへの活用は寒天の方がオススメ。
しかし、寒天ダイエットにはいくつかのデメリットもあり、続いての記事でお伝えしていきます。