
ダイエット中でも気軽にパンが食べたい!
という方向けに、ダイエット中でも食べやすい種類のパンについてまとめてみました。
調べたのは『全粒粉パン』・『ふすま(ブラン)パン』・『ライ麦パン』の3種類。
全粒粉・ふすま(ブラン)・ライ麦の特徴の違い、そして栄養価の比較を通してダイエットに最も適したパンを探っていきます。
全粒粉・ふすま(ブラン)・ライ麦の違い
パンの原材料としてよく耳にする全粒粉・ふすま(ブラン)・ライ麦の違いをまとめてみました。
「全粒粉」とは
全粒粉(ぜんりゅうふん)とは小麦の種子をすべて粉にしたものです。

そもそも、小麦の種子は
- 発芽するための栄養を溜めてある「胚乳(はいにゅう)」
- 成長して芽になる部分「胚芽(はいが)」
- 胚乳・胚芽を包み込む「表皮(ひょうひ)」
という3つの部分から構成されています。
わたしたちが普段よく使っている『小麦粉』は、このうち「胚乳」のみを取り出して製粉したもの。
この小麦粉は白い胚乳のみを粉にしているため白く、デンプン質を多く含みます。
クセも少ないので、パンやスイーツ、いろいろな調理にも使いやすいのが特徴です。
全粒粉は「胚乳」だけでなく「胚芽」や「表皮」も一緒に製粉したもの。
茶色い表皮も製粉しているため全体的に茶色がかっていて、食物繊維が豊富。
パンにすれば、香ばしい風味とややザラリとした舌触り、ずっしりした重さが特徴です。
この風味や舌触りはクセが強いので苦手な方も少なくありません。
また、通常の小麦粉と比べると賞味期限が短いのもデメリット。
「全粒粉」と小麦粉の違いについては↓のページで深く掘り下げています。
また↑の記事でも詳しく説明していますが、全粒粉とよく似た「グラハム粉」は胚乳と胚芽・表皮を別々に製粉し最後に混ぜ合わせたものとなります。
グラハム粉=全粒粉よりも粗挽き、と覚えておけばOKです。
「ふすま(ブラン)」とは
ふすま、別名・ブランとは小麦の種子のうち表皮部分のこと。
この「ふすま(ブラン)」を製粉したものが『小麦ふすま粉』となります。

全粒粉の項で説明した小麦の種子から胚乳・胚芽を取り除いた残りの部分ですね。
このふすま(ブラン)の特徴は、まず
- 低糖質
- 小麦粉と比べて糖質約60%OFF
- 食物繊維が豊富
- 最大で小麦粉の約19倍
という2つがあげられます。
※商品・メーカーによって異なります。
この糖質ひかえめ&食物繊維の豊富さから、ふすま(ブラン)粉を使ったパンはダイエット中でも食べやすいパンとして高い人気を誇ります。
ただ、栄養価が高い一方で価格が高いというデメリットも。
ふすま(ブラン)が占める割合は、小麦の種子のうち15%。
※ちなみに残りは胚乳が83%、胚芽が2%となります。
希少なので、どうしても通常の小麦粉よりもお高めなのが痛い点ですね。
また、通常の小麦粉と比べて賞味期限が短く、日持ちしないのもデメリットの1つ。
グルテンが少なく膨らみづらいので、単体では使用しにくいのも難点でしょう。
ふすま(ブラン)粉も販売されていますが、冷凍ふすまパンの宅配も充実しています。
そちらを試してみるのも手かもしれません。
「小麦ふすま粉」について詳しく説明しているページは↓になります。
「ライ麦」とは
ライ麦はイネ科ライムギ族の栽培植物です。
小麦のように食用の穀物として古くから栽培され、製粉してパンなどに使用されてきました。

黒色に焼き上がるので、ライ麦のパンは『黒パン』とも呼ばれます。
ライ麦を挽いたライ麦粉は小麦粉よりも栄養価が高いことが特徴です。
特に食物繊維は豊富で、100gあたり水溶性食物繊維は4.7g、不溶性食物繊維は8.2g、合計で12.9gも含みます(ライ麦粉)。
さらに、ミネラル類の豊富さも魅力の1つと言えます。
また、ライ麦は小麦粉に含まれる「グルテン」が含まれないのが特徴でもあります。
グルテンが含まれないため小麦粉と比べて膨らみが悪いのがデメリット。
そんなライ麦パンの特徴を簡単にまとめてみました。
- パンの密度が高い
- メリット:水分が少ないので日持ちする、デメリット:固い
- 発酵にサワー種を使用
- 乳酸発酵が行われるため酸味があるパンに焼き上がる
ライ麦にも「全粒粉」がある?
ライ麦パンに使用される「ライ麦粉」は通常、ライ麦の種子のうち「胚乳」のみを製粉したもの。
小麦粉のように、胚乳・胚芽・表皮すべてを製粉した全粒粉のライ麦粉も存在します。
使用するときは小麦粉と混ぜ合わせて使うのが一般的です。
ライ麦粉だけでもパンは焼き上がりますが、膨らみづらく、風味もクセが強いので最初は少し、徐々に割合を増やしていくようにしましょう。
全粒粉・ふすま(ブラン)・ライ麦の栄養価
全粒粉・ふすま(ブラン)・ライ麦の栄養価を【粉】と【パン】から比較していきます。
【粉】全粒粉・ふすま(ブラン)・ライ麦の栄養価
全粒粉・ふすま(ブラン)・ライ麦の栄養価、まずは【粉】の数値です。
栄養成分 | 全粒粉 | ふすま(ブラン)粉 | ライ麦粉 |
---|---|---|---|
エネルギー | 320kcal | 216kcal | 324kcal |
水分 | 14.5g | 9.9g | 13.5g |
たんぱく質 | 12.8g | 15.6g | 8.5g |
脂質 | 2.9g | 4.3g | 1.6g |
炭水化物 | 68.2g | 64.5g | 75.8g |
食物繊維 | 11.2g | 42.8g | 12.9g |
糖質 | 57.0g | 21.7g | 62.9g |
まず、ふすま(ブラン)粉の低カロリー&低糖質が目を引きますね。
ふすま(ブラン)粉は全粒粉・ライ麦粉と比べて100gあたり100kcalもカロリーオフ!
糖質は60~%OFFと、その差は歴然でした。
また、全粒粉とライ麦の数値に大きな差はありません。
全粒粉の方がカロリーが低く、糖質も控えめですが、食物繊維はライ麦の方が多いという結果ににありました。
『全粒粉』と『ライ麦』は日本食品標準成分表2020年版(八訂)、『ふすま(ブラン)』はeatsmartの情報を参考にしています。
- 全粒粉:穀類/こむぎ/[小麦粉]/強力粉/全粒粉
- ふすま(ブラン)粉:小麦ふすま(参考値)
- ライ麦粉: 穀類/ライむぎ/ライ麦粉
ライ麦の「ライ麦粉or全粒粉」を比較
ライ麦のうち、胚乳のみを製粉した「ライ麦粉」、種子すべてを製粉した「ライ麦全粒粉」の栄養価も比較してみます。
栄養成分 | ライ麦粉 | ライ麦全粒粉 |
---|---|---|
エネルギー | 324kcal | 317kcal |
水分 | 13.5g | 12.5g |
たんぱく質 | 8.5g | 12.7g |
脂質 | 1.6g | 2.7g |
炭水化物 | 75.8g | 70.0g |
食物繊維 | 12.9g | 13.3g |
糖質 | 62.9g | 56.7g |
低カロリー・高タンパク・低糖質で食物繊維も(わずかに)多いと「ライ麦全粒粉」の方がヘルシーと言えますね。
ただ、気になるのが脂質。
ライ麦全粒粉の方が1.1gも多くなっています。
しかし100gあたり1.1gなので、脂質に関して気にする必要はあまりないと思います。
ライ麦全粒粉:穀類/ライむぎ/全粒粉
【パン】全粒粉・ふすま(ブラン)・ライ麦の栄養価
続いて、全粒粉・ふすま(ブラン)・ライ麦の【パン】の栄養価です。
栄養成分 | 全粒粉パン | ふすまパン | ライ麦パン |
---|---|---|---|
エネルギー | 251kcal | 216kcal | 252kcal |
水分 | 39.2g | 記載なし | 35.0g |
たんぱく質 | 7.9g | 21.5g | 8.4g |
脂質 | 5.7g | 9.9g | 2.2g |
炭水化物 | 45.5g | 15.5g | 52.7g |
食物繊維 | 4.5g | 10.7g | 5.6g |
糖質 | 41.0g | 4.8g | 47.1g |
ふすまパンの数値が飛び抜けているのはさておき。
全粒粉パンとライ麦パンのカロリーはほぼ同じ。
たんぱく質はライ麦パンの方がやや上回ります。
ただし、ライ麦パンの脂質は全粒粉パンの40%以下となりました。
また脂質はふすまパンが最も高く100gあたり9.9g含まれるのも注目です。
そして問題の糖質は全粒粉パンの方が控えめ、ただし食物繊維はライ麦パンの方が豊富という結果でした。
『全粒粉パン』と『ライ麦パン』は日本食品標準成分表2020年版(八訂)、『ふすまパン』は低糖工房HPの情報を参考にしています。
- 全粒粉パン:穀類/こむぎ/[パン類]/全粒粉パン
- ふすまパン:低糖質ふすま食パン(低糖工房HPより)
- ライ麦パン:穀類/こむぎ/[パン類]/ライ麦パン
<まとめ>ダイエット向きなパンはどれなのか?
- 最もダイエット向きなのは『ふすま(ブラン)粉』を使用したパン
- 糖質オフなら『全粒粉パン』
- 低脂質・食物繊維を重視するなら『ライ麦パン』
ダイエット向きなのは、圧倒的にふすまパンでした。
ただ、ふすまパンはややお高め。
また普通の店舗ではなかなか見かけないレアアイテムでもあります。
現在のところ、購入はネットショッピングが主流となっています。
一方で、全粒粉パンやライ麦パンはスーパーなどでも簡単に手に入るアイテムです。
気軽に続けるなら、全粒粉やライ麦を使ったパンを取り入れるのが得策かもしれませんね。