オートミールなどと並び、ダイエット食品として注目を集める「大麦」。
麦の仲間である大麦ですが、そもそもどんな穀物なのでしょう?
また、実は豊富な大麦の種類を<品種><加工>の2つから解説していきます。
まずは大麦の基本知識を身に付けましょう。
そもそも「大麦」とは
大麦とはイネ科の穀物です。
イネ科にはお米のイネや小麦、エン麦、ライ麦、とうもろこしなど多くの穀物が含まれます。
また、穀物以外ではススキや笹など、日本人に親しみやすい植物なども分類されます。
お酒好きにとっては、大麦の麦芽がビールの原料になるという点で親しみやすいですね。
日本では縄文時代にはすでに伝来。
当初はあまり普及しませんでしたが、栽培技術の向上・二毛作の広まりなどにより中世ごろから栽培が盛んになりました。
大麦は『大きい麦』なのか?
大きい麦、と表記される大麦。
同じように『小さい麦』と表記される小麦があるので、勝手に「大麦は大きいのだろう」と思っていました。
しかし、大麦=大きい麦というのは間違いです。
大麦の「大」は『本物・品質の良いもの・用途の範囲の広いもの』という意味。
これは、大麦が殻や種皮などを取り除くだけで簡単に食べられ、栽培もしやすく、使い勝手が良い穀物として重宝されていたためと言われています。
一方、小麦は外皮が硬く、製粉しないと食べられないため使い勝手が悪い穀物でした。
そのため食べやすい方が大麦、食べづらい方が小麦と呼ばれるようになったとのこと。
※発芽したばかりの幼植物の頃は大麦の方が大きいため「大麦」、小さいため「小麦」と呼ばれるようになった、という説もあります。
また、日本など漢字圏では「大麦」「小麦」と言われますが、英語圏では「大麦=barley」「小麦=wheat」とそれぞれ別の穀物として認識されています。
ただ、製粉技術が発達した現在では小麦の方が親しみやすい穀物と言えますね。
大麦の種類<品種編>
大麦の種類のうち「品種」についてまとめていきます。
『うるち・もち』の違い
大麦には、お米と同じように『うるち性』と『もち性』という種類があります。
いずれもデンプンの性質を表す言葉で『うるち性』は粘り気が少ないデンプン、『もち性』は粘り気が多いデンプンを指します。
もち性の大麦はいわゆる『もち麦』です。
もち麦は、大麦全体の中でも食物繊維量が豊富で、プチプチした食感から高い人気を誇ります。
このうるち性・もち性大麦にはそれぞれ二条・六条種があり、さらに皮麦・裸麦に分けられます。
ここからは、それらの種類について深く掘り下げていきます。
『二条・六条』の違いとは?
大麦の種類である『二条大麦』・『六条大麦』の違いは穂の形状です。
基本的に、大麦の穂は六列で構成されています。
その六列すべての穂が実る大麦が『六条大麦』。
一方『二条大麦』は六列のうち2列しか穂が実らない大麦です。
二条大麦は、収穫できる大麦の数・量は少ないものの一粒一粒が大きいのが特徴です。
反対に六条大麦は一粒一粒が小ぶりですが、収穫量は二条大麦に勝ります。
日本では西日本で二条大麦が、関東より北の地域で六条大麦の栽培が盛んです。
皮の剥がれやすさの違いも?
大麦には皮と身の剥がれやすさの違いで『皮麦(かわむぎ)』・『裸麦(はだかむぎ)』の2種類にも分けられます。
『皮麦』が剥がれにくく、『裸麦』が剥がれやすい種類です。
皮麦は、皮と身の間がのり状の物質でくっつき、剥がれにくいという性質を持ちます。
もともと大麦には皮麦しかありませんでした。
しかし、あるとき六条大麦の一種から突然変異で裸麦が誕生。
くっつくのり状の物質がないため剥がれやすく、食用にしやすいため世界中へ一気に広がりました。
- 大麦
- うるち性大麦
- うるち性二条大麦
- うるち性六条大麦
- もち性大麦
- もち性二条大麦
- もち性六条大麦
- うるち性大麦
大麦の種類<加工編>
大麦の種類のうち<加工>についてまとめていきます。
『押し麦』とはどんな大麦?
大麦の中でもポピュラーと言える『押し麦(押麦)』は、文字通り、大麦の粒を押して平べったい形状に加工したものです。
主にローラーなどで押し潰すことで押し麦となります。
押し麦にするメリットは、吸水率が上がり、食べやすくなること。
また、大麦の粒を押し潰さない、そのままのものは『丸麦』と呼ばれます。
丸麦は吸水率が悪いものの、麦らしいプリプリした弾ける食感を楽しめます。
そのままと言っても、丸麦は外皮やぬかを取り除き、精白してあります。
- 丸麦:精白した大麦
- 押し麦:丸麦を押し潰して平たく加工した大麦
丸麦・押し麦ともに、粒の真ん中に黒条線(こくじょうせん)という黒い線が入っているのが特徴ですね。
『胚芽押し麦』とは?
押麦のうち『胚芽押し麦(はいがおしむぎ)』は、胚芽の部分を残し、丸麦を押し潰した押し麦のことです。
その「胚芽」とは大麦の芽になる部分のこと。
大麦の粒のうち、わずかな部分しかない胚芽ですが、ビタミンや食物繊維など栄養素が豊富に含まれるのが特徴です。
その他の加工方法について
大麦には押し麦・丸麦以外にも『米粒麦(こめつぶむぎ)』『白麦(はくばく)』といった加工方法の種類があります。
『米粒麦』は、丸麦を黒条線で2つに切り分け、お米のような形状に加工したものです。
お米と一緒に炊いても違和感がないのが特徴。
また『白麦』はこの米粒麦を押し潰し平たく加工したものとなります。
お米のような形状、かつ食べやすいのが特徴ですね。
↓は大麦の加工方法別の特徴です。
丸麦 | 精白しただけの大麦 |
押し麦 | 丸麦をローラーで押し潰した大麦 |
胚芽押し麦 | 胚芽部分を残した押し麦 |
米粒麦 | 丸麦を中央の黒条線で切り分けた大麦 |
白麦 | 米粒麦をローラーで押し潰した大麦 |
※参考 はくばく おいしい大麦研究所