オートミールに豊富に含まれる『βグルカン』という栄養素。
このオートミールに含まれる『βグルカン』とはどんな栄養素で、どのような働きを持つのでしょう?
また、オートミールに多く入っている食物繊維についてもご紹介します。
オートミールには水溶性食物繊維・不溶性食物繊維のどちらがより多く含まれているのでしょう?
また、水溶性食物繊維・不溶性食物繊維のそれぞれの働きを詳しくまとめました。
オートミールに豊富に含まれる『βグルカン』とは?
オートミールに含まれるβグルカン(ベータグルカン)は水溶性食物繊維の一種です。
オートミールの胚乳に含まれ、水溶性食物繊維のうち大部分を占めるβグルカン。
そんなオートミールのβグルカンにはダイエットにも健康にも役立つスゴい働きがあります!
βグルカンのダイエット向きな働き
βグルカンには糖質の吸収をゆっくりにする働きがあります。
これは腸内で水を含んだオートミールがゼリー状に固まることで得られる働きです。
ネバネバのゼリー状になることで腸内を進むスピードが遅くなり、糖質の吸収もゆっくりに。
糖質の吸収スピードが遅くなることで、血糖値の急激な上昇が抑えられるとともに、体内に脂肪が溜まりにくくなります。
「糖質の吸収がゆっくり→脂肪が溜まりにくくなる」の理由
糖質の吸収がゆっくりになると、なぜ体内に脂肪が溜まりにくくなるのでしょう?
その理由は食事をしたときの体内の様子から分かります。
- 食事をする
- 食べ物が体内の胃・腸で消化される
- 糖分が吸収され、血管内に取り込まれる
- 血管を通り糖分(ブドウ糖)が肝臓に到着
- 肝臓から体内へ糖分が運ばれる
→血糖値が上昇 - ブドウ糖が増加
- 血糖値を下げるためにすい臓がインスリンを分泌
- インスリンにより糖分が細胞内に取り込まれる
→血糖値が下がる
まず注目すべきは『3.糖分が吸収され、血管内に取り込まれる』の部分。
このとき、一度に取り込まれる糖分の量が多いと血糖値が一気に上昇してしまいます。
すると一気に上昇した血糖値を下げようと、インスリンがドバッと大量分泌されることに。
インスリンは「脂肪の合成促進&分解抑制」というダイエットを大いに邪魔する働きを持ちます。
つまり「一度に多くの糖分を吸収」することは「血糖値が急激に上昇」→「脂肪が増えやすく・減りにくくなる」というバッドスパイラルに陥るきっかけに。
糖質の吸収スピードを遅くするβグルカンは「血糖値の上昇をゆるやかにする」ことで「脂肪が増えやすく・減りにくくなる」インスリンの分泌を最低限に抑えられ、脂肪が溜まりにくくなるのです。
過剰な食欲を抑える働きも
血糖値の急激な上昇によるインスリンの大量分泌には血糖値を急激に下げる効果があります。
血糖値が急激に下がると、今度は「血糖値を上げなければ!」と脳から指令が。
血糖値を上げる、すなわち糖分を多く含んだものを食べることです。
これにより実際にはおなかが空いていないのに空腹を感じ、何か食べてしまう。
そしてまた血糖値の乱高下があり食欲が湧き・・・、という悪循環になります。
糖質の吸収をゆっくりにすることは過剰な食欲を抑えることにもつながるのですね。
βグルカンは含まれる食材によりその性質・働きが異なる場合があります。
特にきのこ類に含まれるβカロテンには免疫力を高める働きがあり、不溶性の性質を持ちます。
オートミールの食物繊維について
まずは、オートミールに含まれる食物繊維の量をチェックしてみます。
オートミールは100gあたり9.4gもの食物繊維を含みます。
そのうち水溶性食物繊維・不溶性食物繊維の数値は↓のようになります。
食物繊維・総量 | 9.4g |
水溶性食物繊維 | 3.2g |
不溶性食物繊維 | 6.2g |
※出典:日本食品標準成分表2020年版(八訂)
オートミールは「不溶性食物繊維」をより多く含むことが分かりました。
そんな不溶性食物繊維、そして水溶性食物繊維はどんな働きをするのでしょうか?
不溶性食物繊維の働き
水に溶けにくい食物繊維こと『不溶性食物繊維』について。
不溶性食物繊維には
- 便秘の予防・改善
- 有害物質の排出をサポート
- 噛む回数を増やす
という働きがあります。
不溶性食物繊維は水分を含むことで大きく膨らむという特徴を持ちます。
膨らむことで腸が刺激され、ぜん動運動(腸の内容物を移動させる運動)が活性化。
便の量や回数を増やすことで便秘の予防・改善につながります。
便秘改善はダイエットに効果的?
便秘とは、正しく腸のぜん動運動が起こらず、便が腸内に留まり続けることです。
腸がしっかり働かない便秘の状態が続くと、基礎代謝は低下。
痩せにくいどころか、太りやすい体質になってしまいます。
よって便秘を改善させることは、腸がしっかり働き、基礎代謝を上げることにつながります。
便秘改善に役立つ不溶性食物繊維を多く含むオートミールはダイエット向きの食品と言えますね。
また、不溶性食物繊維には発がん性物質など有害物質を付着させ排出をサポートする働きもあります。
便の量・回数が増えることで有害物質が大腸の粘膜に付着する時間を短くする効果も。
さらに、噛む回数が増えることで満腹感を得やすくなります。
水溶性食物繊維の働き
水に溶けやすい食物繊維こと『水溶性食物繊維』について。
水溶性食物繊維には
- コレステロールの吸収を抑える
- コレステロールの代謝・排せつをサポート
- 糖質の吸収スピードを遅くする
- 胃の中で膨らむ
という働きがあります。
体内でコレステロール値が上がると生活習慣病リスクが高まると言われています。
よって、コレステロールの吸収抑制や代謝・排せつの促進という働きを持つ水溶性食物繊維は、生活習慣病の予防に役立つと言えますね。
さらに、オートミールに豊富に含まれる『βグルカン』とは?でも説明した糖質の吸収スピードが遅くなるという働きは水溶性食物繊維全体にあります。
これにより脂肪が溜まりにくくなるだけでなく、高血圧や高血糖のリスクを低減させることにもつながります。
また、胃の中で膨らむことで満腹感を得やすくなり、少量でも満足できるようになります。