ダイエット・健康の観点から注目を集める栄養素・βグルカンについてまとめました。
βグルカンはどんな栄養素なのでしょう?
そんなβグルカンの基本から、含まれる食材、含まれる食材ごとの働きについて詳しくご紹介しています。
βグルカンとは
「βグルカン」とはグルコースが結びついてできた難消化性多糖類の総称です。

難消化性多糖類とはいわゆる食物繊維の仲間。
人の体内で消化することが難しい多糖類という意味となります。
また多糖類とは単糖(糖質の最小単位)が多数で結合したものです。
消化酵素で分解されない食物繊維はそのままの状態で大腸へ到達し、便通を改善させるなどの働きをします。
一方、消化酵素で分解される消化性多糖類にはデンプン・グリコーゲンなどがあり、主に身体を動かすエネルギーとして使われます。
βグルカンが含まれる食材
βグルカンは穀物・きのこ・酵母・海藻といった食材に含まれる栄養素です。
- 穀物
- 大麦
- オーツ麦(オートミールの原料)
- きのこ
- 舞茸
- 椎茸
- 平茸
- なめこ
- パンの酵母
- 海藻類
さまざまな食材に含まれる栄養素なのですね。
しかしβグルカンは含まれる食材によって分子の骨格・量に違いがあります。
βグルカンはおおむね水に溶けない「不溶性」ですが、穀物に含まれるβグルカンは水に溶ける「水溶性」。
- 水溶性のβグルカン:穀物
- 不溶性のβグルカン:きのこ・酵母
不溶性・水溶性と性質が異なる2つのβグルカンは、当然体内での働きも異なります。
ここからは、そんなβグルカンの働きを穀物・きのこと食材ごとにまとめていきます。
穀物に含まれるβグルカンの働き
大麦やオーツ麦などの穀物に含まれるβグルカンの働きです。

穀物に含まれるβグルカンは水溶性の性質を持ちます。
よって水溶性食物繊維と同じように
- コレステロールの吸収抑制&代謝・排せつをサポート
- 糖質の吸収スピードを遅くする
- 胃の中で膨らむ
という働きを持ちます。
コレステロールの吸収抑制&代謝・排せつをサポート
大麦・オーツ麦などに含まれるβグルカンは『コレステロールの吸収抑制&代謝・排せつをサポート』という働きを持ちます。
この働きにより血中コレステロール、特にLDLコレステロール(悪玉)が低減。
アメリカではこのβグルカンの働きに有用性が認められ「冠状動脈心疾患のリスクを低下させる」という文言の表示を認めています。
このβグルカンの機能性表示はカナダ・ヨーロッパ各国・オーストラリア・ニュージーランドなどでも認められています。
さらに動脈硬化を引き起こすLDLコレステロール(悪玉)の排出をサポートする、という働きも見逃せません。
この「冠状動脈心疾患のリスクを低下させる」ために必要なβグルカンの量は1日あたり3g。
オートミールは1食・30gあたりに約1gのβグルカンを含むので、朝・昼・晩3食の主食をオートミールに替えればOKです。
糖質の吸収スピードを遅くする
大麦・オーツ麦などのβグルカンは、腸内で水に溶けてネバネバになるという性質を持ちます。
粘度の高いネバネバになったβグルカンは腸内の他の食材を包み込みます。
難消化性のβグルカンに包まれた食材はなかなか消化されません。
このようにβグルカンには食材の消化、つまり食材に含まれる栄養の分解・吸収スピードを遅くするという働きがあります。
食材の栄養のうち、特に糖質の吸収スピードが遅くなることは血糖値の急激な上昇を防ぐことにつながります。
血糖値の急激な上昇は脂肪が溜まりやすくなる原因。
さらに、高血圧や高血糖のリスクも高めるため、血糖値の上昇をゆるやかにすることでダイエットだけでなく、病気のリスクを低下させることにもつながるのですね。
βグルカンの「糖質の吸収スピードを遅くする」働きについて詳しく
胃の中で膨らむ
大麦・オーツ麦などに含まれるβグルカンは胃の中で水を含んで膨らむという性質を持ちます。
この性質により、少ない量でも満腹感を得られやすくなります。
また↑でも説明した水を含んでネバネバになるという性質も消化に時間をかけ、満腹感を長続きさせるという効果があります。
食べ過ぎを防げる、と言った意味でもβグルカンはダイエット向きの栄養素と言えますね。
きのこに含まれるβグルカンの働き
きのこに含まれるβグルカンの働きです。

きのこに含まれるβグルカンは不溶性の性質を持ちます。
よって不溶性食物繊維と同じように
- 便秘の予防・改善
- 有害物質の排出をサポート
- 噛む回数を増やす
という働きを持ちます。
また、他にもきのこに含まれるβグルカンには『免疫力をアップさせる』という働きがあります。
免疫力をアップさせる
きのこに含まれるβグルカンは免疫機能を司る白血球・リンパ球を活性化させる働きを持ちます。
白血球・リンパ球が活性化することで免疫力はアップ。
体外から侵入してくる細菌・ウイルスへの抵抗力を高め、風邪やアレルギーの予防・改善に役立つとされています。
さらに、この『免疫力をアップさせる』働きは「ガンを抑制する効果」も期待されています。
これは免疫細胞のうち、ガン細胞を攻撃するマクロファージ・ナチュラルキラー細胞も活性化させるため期待される効果です。
きのこ(椎茸など)のβグルカンが持つ「ガンを抑制する効果」は抗ガン剤として実用化されてもいます。
ガンを外から攻撃するのではなく、体内の免疫機能を活性化させ攻撃させるβグルカン。
毎日の健康のためにぜひとも積極的に摂っていきたい栄養素ですね。